小説「銀色の青」 著者:笑い飯 哲夫
貸したお金を返してもらう。
当たり前のことのはずだが、野球部のエースに100円を貸した清佐は、返して欲しいと言えずにいた。
野球部では補欠で、クラスでも取るに足らない存在である自分には、その当たり前の権利すら無いような気がして。
しかし、いつまでも100円のことが頭から離れなくて・・・
この本を読んで、清佐に感情移入してしまうのは、自分も高校時代、取るに足らない存在だったからだろうか。
起こる出来事ひとつひとつが胸に突き刺さる。
自分のつらい過去を思い出し、息苦しく、薄暗い気持ちになる。
しかしそれは、暗い青春時代を過ごした人の方がこの物語をしっかり味わうことができるということかもしれない。
つらい過去と向き合うのは苦しいが、それが必要なときもあるのだろう。
乗り越えて成長したい。