「できることをやる」しかできない。
仕事納めの日。帰宅準備をしている時に上司が、「来年もよろしく頼むよ」と言った。
それに対して私は「できるだけやります」と答えた。すると上司は言った。
「できるだけじゃなくて、しっかりやってくれ」
上司の言葉からは、『無理をしてでもやれ』と言っているような印象を受けた。
恐怖を感じた。
結局のところ、どんなにすごい人間でも、「できることをやる」しかできないと思う。
「今日できないことが明日できるようになる」ということはあるかもしれないが、現時点において言うならば、「できること」と「できないこと」が存在していて、「できること」をやるしか選択できない。「できないことに挑戦する」ことはできるが、やったとしてもできないのだから、「できなかった」という結果になる。つまり、「できることしかできない」ということである。
無理をして、限界を超えてやったとしよう。その場合、「無理をして限界を超えてやったらできること」をやったということになる。つまり「できることをやった」にすぎない。
言葉遊びのように思えるかもしれないが、原理としてはそういうことだ。がんばるとかがんばらないとか、そういうことではないのだ。
上司は私に対して「やる気が無い」と感じたのかもしれない。だが私は、やる気が無いわけではない。「人間はできることをやるしかできない」という原理に基づいて、正直に「できるだけがんばります」と言っただけだ。
まあ、伝わらないだろう。説明したとしてもわかってもらえないだろう。
「仕事なんだから、気合いと根性で無理をしてでもとにかくやるものだ」と考えるような人には。