雪山にだまされる
除雪車が道を除雪し、空き地に雪を移動させる。集めた雪で雪山ができる。雪が多く降る地域で見られる光景である。
ある空き地に、除雪でできた雪山があった。高さは2.5mほどだろうか。なかなかの量の雪が集まったなと思った。
それから数日間、天気の良い日が続いた。空き地の雪山は小さくなったかなと思って見に行くと、そこに雪山は無かった。雪山の代わりに土の山がそびえ立っていた。
雪が大量に集まってできた雪山だと思い込んでいたが、土の山の表面に雪が降り積もっていただけだった。
だまされていた。いや、勝手に勘違いしただけなのだが。
表面と中身が同じだとは限らない。
例えば部屋の片付けをする時。物置に物を入れて扉を閉めておけば、きれいに見える。物置の中はぐちゃぐちゃだとしても。
表面と中身が同じだとは限らない。
顔はニコニコ笑っていても、心の中では悪態をついている。
表面と中身が一致しないのは珍しいことではない。だが、見た目で判断してしまいがちだ。
だまされる。しかし、だまされていた方が幸せなこともある。知らない方がよかった、ということもある。
真実を知って心が壊れるのと、だまされたままで気楽に生きるのと、どちらが正解なのだろうか。
自分にとっての正解が何なのかを考える必要がある。